マルマトリートメントは人だけでなく、犬や猫などにも応用できます。
その技術をセルフケアに置き換えた【メビウスの輪状に形成した装身具】も同じように、人以外でも作用します。
ワンちゃんの例ですが、年をとってくると右側、左側のいずれかにどんどん傾いてきます。
軸足が体重を受け持つ率がどんどん高まってきて、利き足がどんどん力を失っていきます。
歩いているとよろけたり転んだりするようになります。
転ぶとワンちゃん自身もショックを受けて、散歩が嫌になってもっと弱っていったりします。
※モデルのワンちゃんは、左足重心の顕著化が進んでいるので、身体が左に傾きます。これを改善するのです。
ワンちゃんの場合【メビウスの輪状に形成した装身具】は
@骨盤:腸骨稜から1〜2cm後ろ。
A肩:肩甲骨のすぐ後ろ。
に装着します。
写真/犬の骨盤と肩甲骨の改善のために【メビウスの輪状に形成した装身具】を装着する個所 |
【骨盤について】
肝心なのは、軸足の確認です。立位を見たときに分かるくらい、右に傾いている。左に傾いている、という子は、沈んだ側が軸足です。右軸足の子は右半身のための回転。左軸足の子は左半身ための回転です。左右差が分かりにくい場合は、後ろ足の大腿部を触ってみて、筋肉が強く大きなほうが軸足です。
正しく装身具を着けると、ワンちゃんは楽になります。
軸足側への沈み込みがやわらぎ、ヨタヨタ歩きが改善します。
動作が速くなり、元気に動き回ることを楽しんだり、神経が高ぶってずっと寝ていなかった子はあくびをしたり、熟睡します。
※軸足が顕著化していくと骨盤のズレが生まれ、そのズレが背骨のズレを連れてきます。
神経に必要以上のテンションがかかり、落ち着けなくなります。これらは人間とまったく同じです。
【参考 人の場合】
人の場合、腸骨稜のすぐ下に装着すると骨盤前傾・後傾を調整します。この時に、基本的には軸足に対応した回転が正解なのですが、念のために左右の回転それぞれを試すようにしてください。チェック方法は、「正しいケアだった場合、装着したら骨盤がまっすぐになって身体が楽になる」「正しいケアだった場合、はずすと身体が縮む。だるく重くなる」ということです。見た目でいえば、正しいケアの場合はすっと美しい姿勢で立ち、身長が伸びたように感じます(実際に少し伸びます)。呼吸が楽にるなど感じ取る要素がいくつもあります。逆だった場合は、足、胴体、首、それぞれの部分でのねじれが強調されて身長が縮むように感じます(実際に少し縮みます)。何となく体が重い、だるい、というような感じ方をします。ワンちゃんにする前に、飼い主さんは自分で経験してください。心地よい経験(反対のことをしたときに心地悪さも含め)をつかんでいただいて、同じような快適さを我が愛犬に施すのだという視線で、見てください。
★★注意事項1★★
ワンちゃんの骨盤も軸足に対応した装着によって、前傾・後傾が改善します。
基本的にはこれをベースにしていただき、万が一に備えて、逆回転の装身具も最初は用意し、試してください。
最初の用心深さが必要な理由は、私たちが素直にワンちゃんの声を聞くのは至難の業だからです。
ワンちゃんの声を理解できる人も当然いらっしゃいますが、そこに到達できていない人もまた多いのです。
相手が人間だとお互いにああだこうだと感想を言い合いながらチェックすれば済むことでも、ワンちゃんの場合は、してあげる人が注意深く、その子を注視して、聞こえない声を聞こうとしなければ、見えてこないことがたくさんあります。
ですから、左右の軸足への対応を基本とし、万が一に備えて逆の回転による装身具も最初は用意してください。
この慎重さが面倒な時は【メビウスの輪状に形成した装身具】は人にも動物にも施してはいけません。この気持ちのあり方が、人や動物へ施すときの、相手を理解する扉を開く鍵なのです。そしてその扉を開けるのは、相手です。
★★注意事項2★★
使用するものは100円ショップなどで販売されている平ゴム(8コール程度の幅)です。
装着させたい部位の円周の80%〜90%の長さに切って、半回転ひねって縫い付け「メビウスの輪」を作成します。装着時には締めすぎにならないように十分にご注意ください。
締めすぎかどうかは、施す人が確認するしか方法はありません。ですからご自身が先にご自身用で体験なさり、身を持って知っていただき、そしてワンちゃんに施す時には慎重さを発揮していただきますように。
【肩甲骨について】
ワンちゃんの立位を横から見たときに、前足と後ろ足が「つり橋」の2本の柱そのものになっているのが分かります。前足を柱として成立させているのが肩甲骨です。老犬になると肩甲骨が突き出てきます。人と同じくずっと疲労し続けている場所には、さらに疲労が集中していきます。肩甲骨のすぐ後ろに【メビウスの輪状に形成した装身具】を装着します。
これによって、つり橋の構造体である背中の大きくて長い筋肉の緊張がより一層落ちます。これらが楽になると、背骨が楽になるとともに、首のまわりの筋肉がゆるみます。
正しい装着だと写真のようにリラックスできます。
ワンちゃんの身体の構造は両端は頭としっぽで空中に浮いています。重たい頭蓋骨を自分の力だけで持ち上げ続けています。重たい頭蓋骨を持ち上げるためのアンカーが胴体の質量で、その胴体を動かすのが足。前足の場合は、これを踏ん張れるようにするために肩甲骨周りに強い力が入りっぱなしになります。
てこが働きますので、支点(足裏)から遠く離れた力点(頭蓋骨)ほど、強い力で作用点(頭から足裏までの間にある身体)を動かします。
ワンちゃんの場合はその力点が頭蓋骨という大きくて重たいものですから、はじめから身体が大変になる構造をしています。
その強い力を生み出す重たい頭で、下を向いてご飯を食べたり水を飲んだり、遥か彼方から話しかけてくる人間を見上げてまじめに答えたりと、大変な仕事をしています。人も万年肩コリが楽になるとうれしいものです。
ワンちゃんも同じです。
【参考 人の場合】
何の道具も使わずに、何のケアもせずに、人の動作を変えてあげられる方法もあります。
お年寄りで耳が聞こえにくい、あるいは会話が遅くてあいづちを打つのも難しい、という方の場合、その方が椅子に座っている状態で健常者が立ったままで話しかけると、会話を成立させることが難しくなります。健常者がその方のそばで膝をつき、自分の頭を相手よりも低くして、自分が相手を見上げるようにして話しかけると、会話や反応の速度が上がります。
これは頭蓋骨と頸椎の角度の問題で、見上げると首が圧迫されて情報伝達がスムーズにできなくなります。自分がしゃがむことで相手の首の圧迫を解除できます。
とても簡単な仕組みですが、同じことが、人とワンちゃんの関係の中では10年近く続きます。ワンちゃんには悪意もないし、無償の愛を施す側なので、好きな人から話しかけられたら見上げてしまうのです。
自分が床に寝ころんでワンちゃんに話しかけてみると、普段よりもすごく喜んで顔をなめに来たりします。喜びが増えたいくつかの要素の中に、身体構造としてコミュニケーションが楽になるからという要素も隠されています。
ワンちゃんは驚くような速さで、あっという間に人の時間を追い抜いていきます。
【メビウスの輪状に形成した装身具】を共に過ごす時間の質をよりよくする手段のひとつとして使っていただければ嬉しいです。 |