マルマトリートメントセラピスト協会
セルフケアの事例

より良いセルフケアのために
交感神経を緩める方法その1 爪とオイルの関係

交感神経を緩める方法その1 爪とオイルの関係
写真/爪の間にしみ込むように植物性オイルを塗り込みます

冬は、体がゆるみにくい。
これは、セラピストの方々も気づいておられるし、クライアントも当然、気づいておられることです。冬の間はケアをしてもなかなか緊張が取れず、心地よいケアが難しくなります。理由があります。それは、気圧が高まるからです。
強い力で押されていると、これに逆らって、心臓は血液を全身に送らないといけません。
そのため、心臓を強く打つことにします。この時に、心臓を強く打つ要素に、『交感神経を高ぶらせる』という選択肢が選ばれることが多いと感じます。
塩分を多く採るという方法などもありますが、体から見ると外的な要因ですので、体の内部で帳尻を合わせることを考えると、体の中にある要素を使う方が生きる者としては自然なことです。
さて、交感神経を高ぶらせると、その副作用で筋肉が収縮します。
冬場にケアをしても体の芯から緩むのが難しくなるのは、交感神経が高ぶり続けているからです。
人の身体と脳は、「選択や行為をすぐに自動化する」という特徴があります。
一度決めたらそれをトレースして、そのことに関しては意識を使わないようにします。
これは生きていくために備わっている大事なことです。
呼吸を1回するたびに、吸い込む空気の量や、吸い込む時間の長さ、吸い込む力の強さ、などを計算して判断していたら他のことができなくなるので、無意識かつ自動化できることはどんどん自動化していきます。

交感神経がこのような事情で、「自動的に高ぶる」ために、筋肉がつられて緊張して、ケアが難しくなります。
なので、ケアをする前になにがしかの手当てをしたいと考えます。
マルマトリートメントの技術では、手技によって交感神経が「高ぶっていた部分」を楽にすることができます。
マルマトリートメントを習得されていない方でも、これに良く似た作用を、オイルで果たすことができます。

オイルを爪の間にしみ込むようにゆっくりと指先に塗り込んでいくと、指先の皮膚がゆるみます。
皮膚がゆるむと、指先はもともと敏感なセンサーとしての仕事をしていますので、皮膚と連動する神経がすっと緩みます。これにつられて交感神経がゆるみます。
そして、筋肉がゆるみます。
クライアントに、「毎日自分で、指先にオイルを少量で良いから塗ると楽ですよ」とお教えするのも有効です。
交感神経が落ちると、眠りが改善されますので、就寝時にやるのも良いことです。

大阪の平均気圧
写真/大阪の4年間の平均気圧

例えば大阪の4年間の気圧の変化ですが、月の平均ではグラフ上段のようになります。
2015年1月の平均は1009.4hPAです。そして同月を31日間で展開したのがグラフ下段です。1009.4hPAは平均で、上にも下にもかなり開いた数字の真ん中になります。
1カ月の中ではこれだけ開きがあるのに、全体としては2014年11月から2015年3月まで、気圧はピークを保ち続けます。この150日を乗り切るために、身体は自動的に交感神経を高めます。
ここに「自動的に高まる→では、調整も自動か?」という問いが生まれます。この150日間が人に与える影響をみると、調整があったとしてもそれは上手ではない。と捉えたほうが良いと考えます。

調整が上手ならば、春まで延々と筋肉が固まるはずがないし、疲労がたまり続けるはずがないし、サイレンを伴う悲劇のシーズンにはならないからです。
ですからまずはここに「調整は上手ではない」という手掛かりを置きます。
これに取り組むとすれば「上手ではない部分をフォローしてあげる」ことが改善につながると考えられます。
自動的な調整は上手ではない。ならばひと工夫追加することによって調整がうまくいかないか。と考えます。
ここで注目すべきは「緊張する方向に向かうベクトルが(2014〜15年の場合は)150日間継続される」ということであり、その状態が続くことが功罪両面を併せ持つわけですから、罪な側面を消そうというのではなく、罪な側面の影響力を弱めてあげる。それが、継続されているという時間の流れをちょっとカットしてみようということにつながります。
張りつめていた神経がふっと緩む。いつもよりも深く眠れる。指先が温かく感じられる。ということはつまり「その直前まで継続していた緊張状態をちょっとカットできた。疲労する方向に突っ走っていくベクトルを弱めることができた」ということです。

家庭用の自動血圧計で前後を測定すると数値はケア後に減少する傾向になりますが、自動血圧計で血圧を測定すること自体がかなり難しいので、ここでの数字だけを根拠にすることは難しいかなと思われます。
この150日間はいつでも自動的に緊張状態になるのですから、その状態を否定するのではなく、しかし継続によるマイナスの影響から身を守るということができれば良い。
地球上に生存するものは季節と気圧の変化や影響を前提に生存しているので、これと戦うのではなく、柳の枝のようにしなやかに対応すれば良い。
それが様々なトリートメントによるケアをする準備になり、セルフケアとしても生活の中に組み込みやすいものであるならば、なお良いことである、と考える次第です。

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